クリニック通信　平成２４（２０１２）年７月号

血圧がなかなか下がらないときは
　最近は良い降圧薬がたくさんあるので、血圧の治療も随分やりやすくなりました。しかし、それでも血圧の下がりにくい方がおられるのも間違いありません。今回はそのような場合のチェックポイントを考えてみましょう。
ち なみに、なかなか下がらない高血圧を「治療抵抗性高血圧」と言いますが、治療抵抗性とはどういうことかというと、高血圧治療ガイドラインでは、生活の注意 をきちんとやった上で十分な降圧薬（利尿薬を含む3種類以上）を飲んでも治療目標（１３０～１４０以下、年齢などによって異なります）に達しない場合、と されています。実は、この言葉の中に対策のヒントが隠されているのです。つまり、これらの条件を満たさない高血圧は本当の治療抵抗性ではないということで す。

そこで、なかなか下がらない血圧に出会った時は、まず
①生活上の注意はきちんとできているか
②薬の選択、組み合わせ、量は適切か
を考えなくてはなりません。
生活上の注意で大事なのは、塩分、酒を控えること、タバコをやめること、体重を減らすこと、などです。特に塩分は、気をつけているつもりの人でも正しく制限できていることは少なく、ほとんどの方がまだまだ努力の余地があります。
薬 について考え直すことも重要です。患者さんによって効きやすい薬を選ぶ、２種類以上の降圧薬を使用する時は効果の大きい組み合わせを考える、十分な量を使 用する、などです。もちろんどんなに良い薬でも、きちんと飲んでいただかなくては効くはずがないので、患者さんに服薬状況をうかがい、飲み残しがないか、 飲めていない時はその理由はなにか、などを一緒に考えます。


このようなことを再検討しても血圧が下がらないときは、次のような点も考えておかねばなりません。
③血圧を上げるような薬が使われていないか
鎮痛薬や漢方薬などを常用していると、そのせいで血圧が下がりにくいことがあります。この他にも血圧が上がる薬はいろいろあり、他の病院で出されている薬や、健康食品、サプリメントなどとして摂られているものも含めて見直します。
④血圧を上げるような病気が隠れていないか
特に、若い方の高血圧、家族に血圧が高い人がいない方の高血圧、急に血圧が高くなった場合などには、血圧が高くなるような病気が隠れていないかを一度調べてみる必要があります。

高血圧の治療は、長い年月にわたって、患者さんと医療スタッフが力を合わせて行っていくものです。患者さんに教えていただかないと分からないことも多く、どうしたら治療がうまくいくのかを、いつも皆さんとご一緒に考えていきたいと思っております。



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