クリニック通信　平成２５（２０１３）年１2月号

自分で測って安心！自分のカラダ
　車 の運転中はスピードや周囲の様子を常に確かめ、ハンドルやアクセル、ブレーキを操作し続けますよね。体調管理も同じことで、自分の体調をよく把握すること が出発点です。病気の治療では、症状や検査結果などを常にチェックし薬や食事などの微調節を続けていかなければなりません。チェック項目の中には、自分で 確かめることができて、できれば毎日でも測っていただいた方がよいものがあります。病院の定期受診時に調べるだけでは十分な管理ができない病気も多く、最 近ではいろいろな病気で、ご自分での測定が治療に取り入れられるようになってきています。と言うよりも、きちんとした病気の管理には毎日のチェックが不可 欠で、それには自分で測っていただくしかない、というような考え方がされるようになっているのです。

　 その代表が血圧でしょう。血圧は絶えず変化しており、日によって、時刻によって、大きく違うことがあります。最低でも１日２回は確かめないと、コントロー ルが良いかどうか判断できません。月に１回、病院で血圧を測るだけで「ちょうど良いですね」などとのんきな（？）ことを言っていた時代は遠い過去のことに なりました。原則として、高血圧の治療を受けられている方には皆さんに、できれば毎日、ご自分で血圧を測って記録していただくようにお願いしています。今 のところ高血圧と言われていない方でも、年齢とともに血圧が上昇したり、自宅で測ってみると意外に血圧が高い仮面高血圧と言われる状態だったりすることが あり、これらはご自分で測っていただかないと発見できないこともあります。

　 不整脈（脈の乱れ）もご自分で脈を触れていただくことでわかることがあります。動悸がするということで受診される場合、動悸がしている最中の心電図をとる ことができれば診断がつくのですが、動悸が時々しか出ない方もしばしばおられます。このような時に、ご自分で脈をみて、脈拍の数やリズムを確かめていただ ければ、その後の検査や治療に役に立つことがあるのです。


　体 重も大切なチェック項目です。特に心臓の悪い方は、体のむくみの指標として毎日測っていただきたいと思います。むくみとは余分な水分が体にたまることです が、心臓病があると血液の循環が悪くなって体がむくむことがあり、ひどくなると呼吸困難などが生じ心不全と言われる状態になります。体重を毎日測って、い つもと違う体重増加がないかを確かめていると、このような悪化を早めにとらえることができ、本当に悪くなる前に薬を増やすなど適切な対処が可能となりま す。このタイミングを逃すと、息苦しさが強くなって最後には救急車を呼ぶような事態にあることも少なくありません。糖尿病や高血圧の方など、肥満の予防・ 治療が必要な場合も、毎日とはいかなくても、体重を自分で確かめていただいた方がよいのは言うまでもないでしょう。肥満とは逆に、体重が急に減るというの も重大な病気のサインであることがあります。

　 このほか、血糖の自己測定はインスリン注射を使われる方には必ず行っていただく必要があります。血糖の思わぬ変化がある時はインスリンの量を増減しなけれ ばならないからです。喘息の方には、息を吐き出す速さを簡単な器具で測定していただくことで、症状の悪化を的確にとらえることができます。体調が悪い時の 体温測定などは、とうの昔に常識になっていますね。時には大便の色なども見てみられて下さい。血が付着していないか、急に黒っぽい色になっていないか、な どです。
　上の例のように簡単に測定できることばかりではありませんが、要するに、ご自分の状態を毎日確認していただくことが大変重要だというこ とです。顔色、息遣い、疲れ方など、自分で自分を観察しましょう。高齢者の場合は家族も気を付けてあげて下さい。早く変化に気がつけば、軽いうちに病気を 発見でき、なによりもご本人がきつい目に遭わずに済むかもしれません。

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